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05 KIICHIRO.H / RYU.H

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下山~雲の上で思うこと~

チンボラソ山/エクアドル
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ここからは、チンボラソ山頂への登頂を断念して
下山するまでの記録です。

(※登頂断念までの記事⇒「標高6310mの頂きを目指して」)

午前3:45
もうすぐそこに見えている山頂に背を向けて
今登ってきた道を引き返しはじめた。

今度は、自分が前を歩く。
こっちが滑落しても、上にいるアルヘンドが命綱で止められるようにだ。

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歩いている間も
「せっかくここまで苦労して登ってきたのは何だったんだ!」
という怒りにも近い感情がこみあげてくる。

まだ心のどこかでは、下山することに納得できていない自分がいて
もう、本当に、すぐそこなのに...
今の体力なら絶対に行けるのに...
という想いが頭の中をぐるぐると回ってる。

まさに後ろ髪をひかれる思いで、少しずつ下りていった。

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しかし、下山を開始してから30分ほど経つ頃には
不思議と、どこかほっとしている自分がいることに気がついた。

あぁ、もしかしたら
どこかで無理をしてたのかもしれないなぁ。

企画に参加してくれている人がいることで
どこか無理やりに強気になっていたのかなぁ。

案外ここら辺が自分の限界だったのかもしれない。
そう思うと、気持ち的に大分ラクになった。

そして、この思いはすぐに確信に変わることになる。

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下山開始から1時間が経過。

急に体調がおかしくなってきた。
それまでの緊張が切れたのか、一気に体がだるくなって
寝不足からか、頭が少し朦朧とする。

あぁー!
ザザザっーーー!!!

足に力が入らず、何度も転び、その度に命綱に助けられる。

というより、この凍った急斜面を
機動性の極端に低いこのブーツで下りるっていうのが無理があるよ...

改めて登山は、登りよりも下りの方がはるかに危ないことを知って
「あのまま頂上まで行っていたら、どうなっていたんだろう...」と怖くなった。

そっからはもう、下るというより、
転げ落ちるという方が合っているくらいの酷い有様。
一歩足を出せば、体の重みに負けて、足がぐにゃって曲がる。

たまらずアルヘンドに休憩を申し出た。
許可が出る前に、我慢できずそばの岩に座り込んでしまった。

と同時に、足の踏ん張りが利かずに
そのままズルズルとすべり落ちていく(笑)

呆れた様子のアルヘンド。
さすが週3でここに登ってる男だけあって、余裕そうで羨ましい。

はぁ~、まだ山小屋までは1時間はあるのかぁ~。
暗澹たる思いに襲われようとしていた。

すると、アルヘンドが...

アルヘンド:「ほら、見ろよ。夜が明けるぞ」

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俺:「あぁ、本当だ...」

時刻は午前5:30
あのまま上を目指していたら、もう頂上まで間近といったところだろう。

でも、ここから見る景色も悪くない。
まだ俺らは遥か雲の上にいるんだ。

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雲の上の世界。

決して手の届かない場所の意味で使われるけども
案外、それは身近なものなのかもしれない。
やろうと思わないだけで。挑戦しようと思わないだけで。

果たして、今、この世界で、雲の上にいる人は何人くらいいるんだろう。
おそらく何百人、いや何千人といるのかもしれない。

もちろん、今回の「自分の限界に挑戦」 という意味では
ここら辺が今の限界だったのだとは思う。

でも同時に...

まだまだ努力すればもっと出来るはずだ。
頑張ればエベレストだって...とさえ思ってしまう自分いたりする(笑)

“いつも前進があるだけだった。失敗したら逃げ道がないと思った。
旅の中止は私が自分なりに積み上げてきた実績を、一挙にフイにすることだ。
そうしたら自分はもう何をしたらよいかわからなくなる。最初の屈辱の中に戻るだけだ。”

というのは、冒険家の植村直巳さんの言葉。

今回は登頂してないので、ある意味失敗なのかもしれない。
でも、毎日毎日、一歩一歩、前に進んでいけば
いつかまた自分も雲の上に行けるんではないか。

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登山に限った話ではない。
この世界一周の挑戦も、資金的なことを考えれば
まだまだゴールは雲の上。

そこには分厚い雲が一面に広がっていて
ゴールの片りんすら見えないというのが正直なところ。

それでも、今自分たちができるのは
見えないゴールを求めて、毎日毎日あがくことだと思ってる。
その積み重ねが、いつかゴールに繋がるんだと。

“必ず壁はあるんです。それを乗り越えたとき、パッとまた新しい世界がある。
だから厳しく自分を鞭打ってやってきたときは、振り返ってみたとき実にさわやかです。”

という植村直巳さんの言葉を信じて、これからも頑張ろうと思います。

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30分くらいここにいただろうか。
いつの間にか、すっかり夜が明けていた。

「ここまで来れば安心だ」と言うので
アイゼン(トゲトゲ)をブーツから外すことにした。

そして最後の力を振り絞って
再び歩き始める。

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ハイキャンプ(5000m)が見えた。
もう本当にあと少しだ。

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下山直後は悔しくて、あまり見たくなかった頂上だったけど
今は、「くっそー(笑)」というさわやかな気分で眺められる。

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今回の無事の登山への感謝のしるしに
拾った石を積み上げていくアルヘンド。

アルヘンド:「山の神様へのお礼さ。」

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午前6:00
ハイキャンプを通過。

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そして午前6:45
ベースキャンプ(4800m)に無事帰還。

俺は生きて帰った。
大袈裟なようだけど、そう素直に喜べた。

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背後には、チンボラソの山頂がくっきりと見える。
アルヘンドによれば、ここまで晴れるのも珍しいらしい。

俺:「今頃、あそこにいたかもしれないんだよなぁ...」
アルヘンド:「なぁに。またキイチは挑戦するだろ(笑)」

俺:「ははは...笑」

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(↑この写真の左端の尾根の付近(標高5750m)まで行きました)

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そして、本当に有難うね、アルヘンド!

改めてふり返ってみると、やはりあそこで下山したことは正解だったと思う。
本当にあのまま行っていたらどうなっていたか分からない。

ただ、それでも撤退が決まった時は、あまりの悔しさに目頭が熱くなった。
「絶対に地球で一番高い所に登頂するんだ!そこで写真を撮るんだ!」
と本気で思ってたからね。

だから、撤退を決めたアルヘンドに対しても
「なんでだよ!まだまだ行けるじゃないか!!」と感情的に当ってしまった。

でも今思えば、彼の勇気ある判断がなければ
自分はこうしてブログを書くことが出来なかったのかもしれんない...
そう思うと、彼には本当に感謝の気持ちで一杯だ。

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そして、隆の待つリオバンバの街に帰る。
途中50回くらい居眠り運転をしながら(笑)

いや、昨日の朝から24時間以上寝てないからさ...

そして、隆の泊まっていた宿で一週間ぶりのシャワー。
(↑お宿桜子を出て以来w)

そして、隆と無事の帰還を祝ってのささやかなパーティ♪



といっても、中華料理(500円)だけどw
それでも、無事に帰ってこれた安堵から、久々にいい気分♪



おやすみなさい。
人生で一番長い一日半が終わり。

チンボラソ挑戦記~完~

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