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05 KIICHIRO.H / RYU.H

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砂漠化の進むアラル海の町へ

アラル海/カザフスタン
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寝袋から体をよじり出して、そのまま運転席に滑り込む。
朝はいつもこうやって始まる。

エンジンキーを回すと、若干の異音とともにエンジンが回り始める。
どうも砂埃地帯に入ってからこうだから心配だ。

それでも車を道路に乗り入れ、今日も激走の一日が始まる。
はぁ、ちょっと疲れてる。出発前からw



昨日町を出てからというもの、道の半分くらいは工事中だ。
その都度、本道から降りて、隣に並行して臨時につくられたダート道を通るわけだが
それが石ころだらけのボコボコ道だから、ずっと...

ガタガタがたごとがたとごぉーーーって続く。

そうして舗装路とダートを1kmぐらいおきに延々に繰り返えす。
運転席側の窓が壊れて半開きだからエアコンも付けられない。
しょうがなく他の窓も全開、砂埃はどんどん吹きこんできて車内はべとべと。
なんとも言えない気だるさを体中に感じる。無気力にアクセルを踏み続ける。

途中、道路わきに白骨化した馬の死骸が散乱してる。
外の皮だけは残ってるんだけど、中はきれいに食べられてる。
砂漠の中に白骨死体、あぁもう地獄だ。

さらに走ると、また前方で「工事中につき脇道へ」
みたいな看板が見えてくる。
しぶしぶ道を降りようとハンドルを切る。

とその時...

ビューーーーーン!!!

すさまじい砂埃をまき散らしながら
白いワゴンがデリカのすぐ脇を物凄いスピードで抜き去っていった!

え、どうすんだよ?真っ直ぐは工事中だぞ...
と思って見てると

えっ!?

看板を無視したかと思うと、そのまま封鎖用に積まれた土砂の間を強引に突破して行く。
呆然とする俺ら。
それを尻目に次の車もお構いなしに突破してく。

へ?これって通っていいのかい!

封鎖の先をみると確かにもう道路の工事は完成してるようだ。
おそるおそる、車を道に戻し封鎖の合間を慎重に抜けてみる。
もし誰かに見つかったら...いや、そうなったらそうなっただ、行こう。

そうして進んで行き、並走するダート区間を必死に走るトラックを横目に快調に飛ばす。
次の封鎖も突破、そのまた次もひょいと突破だ。
さっきまで愚直にダートを走ってた俺らは何だったんだよ...

そんな感じでぐいぐい進むこと8時間あまり、ついにアラルの町に入った。
アルマティから実に1500km。
じつに3日間の激走の末にようやく到着したのだ。

そんな俺らを『アラル海へようこそ』という看板が迎えてくれた。
かつてはアラル海のほとりに位置し栄えたこの町も海の縮小によって
今では海まではさらに内陸に100km程行かないといけないらしい。
だからだろうか、物悲しさばかりが漂っている。




町は砂に満ちていた。
通りは砂塵で覆われ、車を降りれば砂が全身にまといつく。
砂漠化の影響だろうか。

昔、テレビのドキュメンタリーで
かつて漁港として栄えていた頃のこの町の様子を見たことがあるが
全てが違う。



道も分からないので、アラル海へ行くのは明日にすることにした。
とにかく、アラル海までの道は、地図にも、GPSにものってないのだ...

とりあえず、今日は適当なカフェで休むことにした。
ipadの充電をしながら、うまくもないスープとパンでとりあえず空腹を紛らわす。
することもないので、町中をぶらぶらしてみるかな。

隆を残し、カフェを後にする。
町の中心広場から少しいくとすぐに住宅地になり
路地で子供たちが遊んでる。もう夜8時くらいなんだが
親が呼び戻そうともしてないのを見ると、安全な町なのかもしれない。

広場にもどると遠くの方に小さい空き地があって
何やら少年たちがサッカーをしてる。よし、いっちょ行ってみるか!

急いで車に戻り靴に履き替えて向かう。
とは言ってもこっちから仲間に入れてくれなんて言う勇気はないよ。
外から黙って見てるわけ、じー~とね。

案の定しばらくすると、中の一人がこっちに気づいて誘ってきた。
それでも、如何にも待ってました、はい喜んでみたいな野暮なことはしない。
しょうがねぇなーやってやるか、みたいに行くわけ。

ま、ばっちり靴まではいて見るからにやる気満々なんだけどね(笑)
とにかく最初が肝心だ。

破れたフェンスから体を滑り込ませて空き地に入る。
自己紹介もそこそこに、さぁ試合開始だ。
メンバーは小学生かた高校生くらいまでの奴が俺を含めて8人で、4人対4人だ。

おそらくアラル海でサッカーする初の日本人なんじゃないだろうか。

むむ?つまりだ、ここで万が一にでも俺が不甲斐ないプレーをすれば
NIPPONがその程度だと思われてしまうではないか。
それはまずい。

まぁ、簡単にいえばロシアの本田みたいなもんだ。それがここでは俺なわけ、責任重大だよ。

そうこうしてると、いきなり俺の方にポーンとボールが飛んできた。
取りにいくと、ドスンっ!
後ろから吹っ飛ばされたわけだ。

見るとみんなヘラヘラ笑ってやがる。
リーガ・アラルの洗礼だ。バカヤロウ、舐めんなよ。
すぐさまボールと取りに行って、ゴールへ一直線っ...

と思いきや、あれっ?ボールが全く進まないよ...
とういうのも空き地全体が砂に埋まってて
もはやビーチサッカーみたいになってるから全く思い通りにいかない。

それでも俺以外のみんなは慣れた足さばきで器用にボールを運んでるではないか...
いやいや、関心してる場合じゃない!

そしてついにきた。
試合開始から10分あまり、左サイドから抜け出て
そのまま思い切りふり抜いた。ゴーーーール!!!!
念願の初ゴールに、仲間がきてハイタッチだ
何を言ってるのかは理解できないが
とりあえずお互いの距離がぐっと縮まった気がして嬉しい。

その後も試合は延々続き
1時間くらいして点数は10対14、4点のビハインドらしい。
よく覚えてるよな。

すると...

急にワァー!ってみんなが騒ぎ出したかと思うと
突然一人が空き地の外に走っていった。
良く見ると女の子が一人空き地の横を通りすぎるとこだ。

はは~そういうことかw

どうも彼女はみんなのアイドルなんだな。
見てると、走っていった奴がその子から何やらペットボトルをもらって飲みだしたぞ。
すると、今度は全員が試合そっちのけで走っていった...

おいおい、試合はどうすんだよ(笑)

そう思いながら誰も居なくなった空き地を見回すと
一番小っさい少年が一人ぽつーんと残り、
やれやれ...みたいな感じで、はしゃぎ回る皆を冷ややかに見つめてる。

やれやれ

さぁ、そしたら俺もそろそろ戻るかな。
そう思って皆へ別れを告げにいくと

「明日もまたこいよ!」みたいなことを言われた。

「ははは。またいつかな...」

そう答えたものの。
おそらくもうこの町に来ることは無いだろう。
名残惜しさを感じつつも、脱いであったドロドロのシャツを拾ってカフェに戻った。
ドアを押しあけて入ると、この世の終わりみたいに暗い店内の端っこに隆がぽつんといた。
こんな店でも二度と来ないのかと思うと寂しい。

さぁ、明日は念願のアラル海だ。早めに寝ようっと。

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